遺言書とは

自分の死亡後、自分の財産を誰に取得させるかなどを、定められた様式に従って、生前にあらかじめ決めて書き残すものです。

最近流行りのエンディングノートは、自分の想いや意思を伝えるには有用ですが、遺言書とは異なり、法的な強制力はありません。自分の希望通りに、確実に財産を渡すためには、遺言書の作成をおすすめいたします。

遺言書の種類

公証人が作成する「公正証書遺言」と、自分で作成する「自筆証書遺言」の2種類の方式が一般的です。

それぞれのメリット・デメリット

公正証書遺言
自筆証書遺言
メリット
  • 方式不備で無効になることがほとんどない
  • 原本が公証役場で保管されるので、偽造や改ざん、紛失のおそれがない
  • 公証人が書面を作ってくれるので、自分で手書きをしなくてよい
  • 死亡後、すぐに相続の手続きが開始できるので、相続人の負担が少ない
  • 費用がかからない
  • いつでもすぐに作成できる
  • 遺言書の内容を自分だけの秘密にできる
デメリット
  • 費用がかかる
  • 公証人と事前打ち合わせをする必要があるので、手間がかかる
  • 書き方を間違えると無効になる
  • 偽造や改ざんのおそれがある
  • 自分で保管するため、紛失や発見されない可能性がある
  • 財産目録以外は全て手書きをしなければならない
  • 死亡後、裁判所で「遺言書の検認」という手続きが必要になる

遺言書作成したほうがよい場合

1.お子様がいないご夫婦

例えば、夫が亡くなり妻が残された場合、妻3/4、夫の兄弟姉妹1/4で相続となります。
この割合以外で分ける場合は、相続人全員で遺産分割協議を行うことが必要となります。妻が夫の兄弟姉妹と協議を行うのは、とても大変なことです。遺言書を残すことで全ての財産を妻へ相続させることができます。

2.相続人以外に財産をのこしたい方

お世話をしてくれた方に財産をあげたり、団体などに寄付をすることができます。

3.複数回結婚しており、それぞれに子供がいる方

会ったことがない前妻の子と後妻の子で、遺産分割協議をするのは大変です。話がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停も必要となります。遺言書で財産の分け方を指定することで、遺産争いの発生を未然に防ぐことができます。

4.事業を営んでいる方

承継者や株式を相続する人を、遺言書で指定することで、円滑な事業承継をすることができます。

5.相続人の中に行方不明の人がいる方

行方不明者がいる場合、遺産分割協議をすることができません。その場合、不在者財産管理人という制度を使う必要があり、時間と費用がかかります。遺言書で、相続財産の分け方を決めておけば、この制度を利用することなく遺産を分けることができます。

主要なもの5つを挙げましたが、みなさまそれぞれに、個別のご事情があると思います。
「こんな場合はどうだろうか?」「自分の場合はどうだろう?」など、ご質問がある場合はお気軽にお問い合わせください。